こんにちは、宮川です。
今回は初めてなので、自己紹介を兼ねて。

はじめに

デザイン会社の一員ですが、私はデザイナーではありません。
では、どんな仕事をしているか?というと、主に2つ。
ひとつは、ウェブサイトや紙媒体などを作りたいというお客さまのご依頼に対し、ヒアリングを行い、ツールの企画・提案をすること。
もうひとつは、提案を形にするために、デザイナー、イラストレーター、エンジニアなど、クリエイティブチームをコントロールし、お客さまとの打合せを重ねながら、プロジェクトを進めていくことです。

オーダーメイドの服屋に例えれば、来店したお客さまの寸法を測り、お好みのカラーやスタイルを伺い、ラフスケッチを描いて、仕立て屋さんに伝えるという役回り。その人をより格好良く、引き立てるためにはどんな装いがよいかを考え、仕立てた服の出来具合をチェックし、もう少し丈を詰めようとか、ここのステッチを変えようとか、仕立て屋さんの監督も行います。

アンドクラフトでは、この仕事を「ディレクション」といいます。
ディレクションを行う「ディレクター」は、お客さまとの架け橋であり、制作の起点でもある、とても大事なポジション。
話し上手よりも聞き上手、粘り強く、“縁の下の力持ち”という人に向いている仕事だと思っています。

未知の世界に出会える仕事

と、生意気なことを書きましたが、私がディレクションを担うようになったのは、つい数年前のこと。
もともとは、取材をして原稿を書いたり、写真を撮ったり、集めたりして冊子やウェブマガジンを編む、ライターや編集の仕事をしてきました。
ライターという職業も、とても素晴らしいものです。取材と称して、自分ひとりだったら行くはずもない場所へ行ったり、おいしいものを食べたり、出会えるはずもない人に会って、話をきき、“未知の世界”に触れられるからです。

“未知の世界”といえば、思い出すのは、編集プロダクションに入社して間もない20代前半のこと。
そこで初めて担当を任されたのが、50代男性(当時の“団塊の世代”)をターゲットにしたウェブマガジンの特集記事を毎週更新するという案件。自分自身とは全くかけ離れた世代をターゲットに、戸惑いながらも、奮闘しました。
通勤電車でおじさんたちの持ち物を観察し、仕事帰りの本屋で男性誌を立ち読みし、ド世代だった社長にアドバイスをもらい、新宿ゴールデン街にも足を運びました。飲み好きな女の先輩と細い路地をさまよい、バーを梯子して酔い潰れたことも。

そんな体当たりの努力の末に書いたゴールデン街の特集記事は、クライアントからも高評価を得て、新米ライターの大きな自信となりました。

歩きながら考え、作り、伝える

その後、出会いと別れ、移住、出産、子育てなど、さまざまな経験を経て、今この文章を書いています。
振り返ってみると、読み手のことを思い企画し、取材で新しい知識や情報を得て、記事を作るというライターの経験は、現在の仕事に深いところでつながっています。

今、アンドクラフトでは企画書を作ったり、広告のキャッチコピーを考えたり、コンセプトライティングをしたりと、言葉を起点とした仕事のほとんどを担当させていただいています。
私にとって、ライターが通過点であったように、ディレクターという仕事もゴールではなく、まだまだ未知は続いているのかもしれません。ただ、どんな仕事でも、言葉を使って伝えることが求められます。そして、机上で考えるだけでなく、現場へ足を運び、未知の世界と出会い、また考え、何かを作っていくという制作の原点は大事にしたいと思っています。

ついつい長くなりました。
昔話の続きは、ぜひ飲みながら(笑)。ゴールデン街はないですが、長野にもおいしいお店、たくさんあります!