だれもが手軽に写真や動画を撮れる時代です。
そんななかでも、アンドクラフトに撮影をご依頼いただくお客様に対しては、いつも身が引き締まる思いです。

プロが撮る写真は、一般の方が撮るものと、何が違うのでしょうか?
一言で言うなら、それは「準備」だと私は思います。

たとえば、モデルハウスのスチール撮影。
「昼夜の外観、各部屋・設備の写真に加え、モデルさんの入ったイメージカットを撮りたい」というオーダーが入ったとします。受注段階では、写真の使用用途が明確に決まっていない場合もあります。とはいえ、住宅撮影であれば、ウェブサイトや広告、パンフレットへの展開を前提に考えるのが一般的です。もし、用途が決まっていて、そのデザイン制作もご依頼いただいている場合には、ウェブサイトならワイヤーフレーム、カタログならラフを用意してどこにどんなカットを使うかの、あたりをつけるところからスタートします。

具体的な「準備」の第一歩は、現場のロケハン(下見)です。遠方などで現地に行けない場合は、図面、動画・写真などをお客様に共有していただき、広さ、照明、備え付けのインテリアなどを詳細に確認し、全体像を把握します。

そして次に、モデルが入るライフスタイルイメージのカットの準備です。お客様のご希望が漠然としている場合には、どの部屋で、どんなポーズで、どんな表情を撮るのか、絵コンテや参考を用意し、モデル衣装、ヘアメイク、映り込む小物なども含めて提案し、イメージを共有します。モデルの手配をご依頼いただいた場合は、ふさわしい人を探し、モデルとの事前打ち合わせも並行して進めます。

お客様と撮影カットの共有ができたら、次はタイムスケジュールを作成します。
夜景撮影を行う場合には日の入り時間、モデルさんがいる場合には拘束時間など、物理的な制約を考慮した上で、終了時間から逆算して各カット撮影のための準備時間、撮影時間を組み立てていきます。この際、一番重要なのは、撮影前の準備時間の確保です。構図の決定、必要照明機材の設置、モデルさんの着替え、インテリアや撮影用小物のセッティング、映り込む不要物の排除など、シャッターを切るまでに準備することは結構多く、プロの撮影に慣れていない方は、「こんなに時間がかかるの?」と思うかもしれません。
けれど、この時間は写真のクオリティを高める上で必要不可欠なので、どんな案件でも、必要最低限の準備時間を取っていただけるように、お客様のご理解をいただくように働きかけます。また、前カットが長引いてしまった場合などを想定し、全体スケジュールには余裕を持たせることも大事です。

そして、最終的に現場で撮影を担当するフォトグラファーと情報を共有し、打ち合わせを行います。わたしたちがタッグを組むフォトグラファーたちは皆、豊富な技術と経験を持ち、準備を怠らないプロフェッショナルなので、信頼して現場を任せることができます。
もちろん、当日、現場判断が求められる場面もありますが、撮影においては「準備」が9割。
入念な準備があるからこそ、臨機応変な対応をする余裕が生まれ、クオリティの高い仕事をすることができます。

スマホのカメラでもプロ顔負けの性能を備え、画像処理ソフトを使えばだれでも簡単に写真の加工ができる時代。プロが撮った写真と、一般の方が撮った写真のクオリティの違いに気が付く人は、少数派なのかもしれません。

けれど、わたしたちを信じ、撮影をご依頼いただいたお客様に「やっぱりプロにお願いしてよかった」と喜んでいただけるように、1枚の絵作りに全力を注ぎ続けます。

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